自閉症と栄養の関係
『小児神経学者のカセリン・スペアーズ博士は、自分が治療していた20人の自閉症児は全部亜鉛とビタミンB6に反応したと報告した。スペアーズ博士は、両親、教師、専門家がみな、この自閉症児たちが行動とスピーチの両方で改善したと評定した。』
『自閉症児たちにはマグネシウム値が低いことが多く、B6、亜鉛、マグネシウムを組み合わせたサプリメンテーションが、改善に導くことになろう。リムランド博士の先駆的研究の後の10年で、5つの研究がこのアプローチを検証した。すべてが、ビタミンB6とマグネシウムの組み合わせの肯定的な結果を報告した。』。

精神疾患と栄養―うつ、不安、分裂病にうちかつ
カール・ファイファー (著), パトリック・ホルフォード (著), 大沢 博(訳)
精神疾患は多くの場合、栄養療法を用いて治療に成功することができる。イギリスでいま、話題の書。

脳は栄養素からできている!

脳は、各種栄養素の塊です。実際に、母親からの栄養素の60%以上が胎児の脳の発達に使用され、子どもの脳は妊娠2ヶ月半~5ヶ月から生後2歳ぐらいまでに生成されるといわれています。妊婦の偏食、栄養不全、有害物質蓄積が胎児に脳の形成を悪化させる可能性が指摘されています。実際に、毛髪ミネラル郵送検査をやっている「ら・べるびぃ予防医学研究所」のデータによると、0-15歳の子供の有害物質(水銀、カドミウム、鉛等)は大人を越えるレベルに達しているということです。幼児期の栄養不足・有害金属蓄積が幼児の脳に与える影響はかなり大きいようです。

不足しがちな栄養素

●ビタミンB6
水溶性のビタミンなので摂って8時間以内に排泄されるので、毎日自然の食品かサプリメントで補う必要がある。適切な吸収が行なわれるためにはビタミン12が必要なので、サプリメントだとビタミンBコンプレックス(ビタミンB群)で補給する。
ドーパミンやノルエピネフリンのような、自然の抗うつ物質の正常な産出を助ける働きがあります。

●亜鉛(ミネラル)
精神の鋭敏さを高め、正常に脳が機能するのを助けます。食品に含まれている亜鉛は、食品加工の家庭でほとんど失われてしまう。栄養素の乏しい土壌でとれた食品には初めからたいした量の亜鉛は含まれていない。複数の研究が脳の機能にとって大切であることと、統合失調症の治療にも重要であると示しています。

●マグネシウム(ミネラル)
抗ストレス・ミネラルで、精神が正常に機能するのに必要。マグネシウムはビタミンB1・B2・B6が必要とする酵素の構成要素であるため、このミネラルが不足するとBビタミンの働きが十分になされないためにおきてくる様々な症状(痙攣など)の原因となります。マグネシウムはカルシウムと1:2の割合で摂取される必要があります。

上記は野菜のビタミンCの含有量の変化をあらわしたものです。この50年間で半分以上減っているものもあります。野菜全体の栄養自体が減ってきている&野菜を摂取する機会が減っている現代では、ビタミン・ミネラルを1日に必要な量をとるのが難しくなってきています。ビタミン・ミネラルの栄養が不足していると代謝もうまくできません。体内に入った有害物質も排泄できないままに体に残ってしまいます。

幼児期の栄養不足と代謝不良が、さまざまな病気の原因になっていることは否定できないと私はおもっています。

妊娠中に特に必要なオメガ3

オメガ3・DHA(魚の油・亜麻仁油などに多く含まれている脂肪酸)の減少が子供の発育に悪影響を与えているようです。現代スーパーなどで売られている安い油・外食・加工品はほぼリノール酸(オメガ6系)の油が使われています。人間の脳に特別な役割をしている重要な脂肪オメガ3系を摂取する機会が減ってきています。

84年ニューリンガーら5人の学者がDHA(オメガ3)と脳の関係について猿を使って行なった実験があります。

「母猿をオメガ3不足にすると、生まれる直前の胎児であれ、新生児であれDHA値が異常に低くなり、生後にはより深刻にオメガ3の影響を受けやすくなるように思われる」と述べていました。人間の子供の脳は妊娠中のオメガ3の影響だけでなく生後にでるオメガ3不足の影響を猿の場合よりももっと受けやすいと思われるとも。

栄養の欠乏、特にオメガ3の必須脂肪酸の欠乏すると、現代の子供に多いアレルギー、鼻洞アレルギー、や過運動症、自閉症的な行動がでるようになるそうです。オメガ3は脳の中の学習能力、不安や抑うつ症、視覚、聴覚といった働きと関係の深い部分で、また自己免疫機能のバランスを取る役割があるからです。